キネティックアートとは、元々は何らかのエネルギーを用いて動きを出す芸術作品のことです。私はこれを、自然のあらゆるところに宿るエネルギーを感じて、水のようにしなやかに動く体による芸術作品と解釈し、芸術的な武道としてブラジリアン柔術との結びつきを感じました。

その中でも、私の目指す柔術とは、ヘンリー・エイキンス氏の教える「体で感じる」柔術として、試合という一瞬の結果ではなく、日々の練習の質を求めた長く続く鍛錬の道そのものでありたいと考えます。

キネティックアーツ柔術の鍛錬の先に何があるのか、それは目に頼るのでなく、感じる能力を育み、自然の力と繋がっていけるような、そんな研ぎ澄まされた感覚を養っていきたいのです。

私たちが大切にするのは、とっさの動きにも対応出来るベースであり、ベースを強固にする安定した呼吸です。どんな時にも呼吸を止めないこと、そして、力を入れ過ぎない、力を抜き過ぎないリラックス状態。この状態が、精神的にも肉体的にも安定した土台を作り、柔術としてのベースを作るのです。

トリッキーな技、アクロバティックな動き、高い柔軟性を必要とする技など、そういった輝かしい部分にブラジリアン柔術の魅力を感じる人もいるでしょう。もちろんそれを否定はしません。ただ、私の指導する柔術では、若さや体力に頼らずとも、「生涯を通じて長く楽しみ続ける」をもう一つのテーマとして、ベーシックな動きを大切にし、その完成度を追い求めていく、そのような「道」として柔術を目指します。